第1書架「戦術書」

『禁令』 江戸時代後期の写本
禁令・・・と言う事しか判らない。

 恐らく江戸時代に写された古代中国の写本のひとつ。見事に虫食い。禁令というところからすると、兵の動かし方、統率について書かれた書籍だと思われる。一字一字毛筆で丹精に記述された写本である。
 残念ながら最初のページが欠落しているために、誰の手による筆記なのか分からない。(蔵書先を隠すために故意に破かれた?)
 古代中国の思想家には優れた人が多いのだが、現代中国で優れた思想家や文学が排出されないのは、やはり政治が文化をリードするという考え方からの結果なのだろうか。 漢字はかなり色々な表現が可能で優れた文字であるだけに残念至極ではある。
 なんだか字義が不明な漢字が混じっていて、「これ、なんて読むんじゃー!」な世界が展開されること幾数回。

兵法ニ曰ク、賞ヲ以テ表ト為シ、法ヲ以テ裏ト為ス。
又曰ク、之ヲ令スルニ、文ヲ以テシ、之ヲ斎スルニ、武ヲ以テス。
軍ヲ統ベ衆ヲ領スルニ、賞明ラカ不ルハ即チ、士卒功ヲ尽サズ、罰厳シカラ不ルハ即チ、整斎ヲ不ズ。
古ニ曰ク、賞ハ陽ヲ成シ、罰ハ陰ヲ成ス。
賞罰平ラナルハ即チ陰陽和ス 陰陽ノ和スルハ即チ寒暑ノ差ハ不ズ。
寒暑ノ差ハ不ザル時ハ即チ 万物ノ時ヲ得、軍ハ上下ニ在テ和スルヲ貴フ。

書き出しはだいたいこんな感じ・・・一体誰の記述によるものなのだろうか…(謎
呉子?でもな、最後のほうに孫子曰とかかいてあるなぁ。どんな謂れが在る書籍なのだろうか・・・だれか知ってる人、情報くださいな。



闘戦経(全) 海軍兵学校編 昭和9年 五典書院
 海軍兵学校野沢文庫蔵版である。右にあるのが海軍兵学校の蔵書印。
作者、年代ともに不明。大江家の祖である宰相維時卿の作とも、匡房卿の作とも言われるが、今となっては特定する事は不可能である。
 闘戦経改題によれば、漢文体ではあるが中国伝来の書ではないらしい。章を分かつ事53編。明快な短文体で構成され日本の兵法として確立した書ではあるが、老子風の文体で兵道の第1儀を掲揚し、戦術書というよりは戦いの思想書とでも言う方が適切だろうか。
 大江家(毛利公爵家)に伝わったものとされているが、現在同家に原本はない。



『藍軍想定』 
秘 演秘 用済後焼却 と書かれたこの書籍はには、出版社も出版年数も記されていない。そればかりか、どこの部隊で使用されたものなのかさえはっきりしないのだが、状況から鑑みるに、昭和20年の終戦間近に研究された戦術書だと思われる。
 敵国ソビエトが青森県に上陸し、弘前に陣を築き関東に侵攻すると仮定し、これを迎え撃つ手段を軍団規模で想定するこの戦術書には、かなり細かな指示と計画が載せられていて、当時の切羽詰った状況がうかがえる資料である。
 しかしながら、北海道は全く触れられていないというのは、この地を端から放棄して本州の守りを固める腹だったのだろうか。
 それともソビエトは北海道を無視して、青森に上陸作戦を展開すると軍は考えていたのだろうか。私見だが、アメリカ軍と先を争う状況においては、北海道には戦術的価値は薄く、しゃにむにベルリンを目指したソビエト軍だけに、目的地を東京に定めたら他の地域などほっといて最短で侵攻してくると感じるものである。



昭和12年改定 『戦術学教程』(巻1、巻2) 陸軍士官学校テキスト
巻1、昭和12年改定(昭和12年9月) 第605号
巻2、昭和12年印刷(昭和12年11月)第600号
 陸軍士官学校テキストである。
 巻1には戦闘の基本たる概念、指揮と命令、攻撃と防御、歩兵、砲兵、騎兵、輜重兵等の要領がカタカナで記されている。
 巻2には以前の所有者たる第4中隊騎兵生徒の書き込みと張り込みがびっしりとされていて、士官学校の学習の一端を垣間見る事ができる。(おそらく授業中に配られたガリ印刷の紙だろうと思われるものが、かなり貼りこまれて朱書きと図を参考に記入している)しかも、後期学習考査として戦術テスト問題まで差し込んであって、この学習で学んだ事をテストして実力を確認するという、本当に学んだ物だけが醸し出す生の学校の雰囲気を感じる事ができる書籍である。



初級幹部 『戦術学教程』(基本戦術、応用戦術及び戦史) 昭和14年改定 武楊堂書店
 これも戦術学教程と題された書籍である。しっかりしたクロス装丁。
 作戦要務令に基づくと表題されているように、作戦要務令の引用を随所に交えて記述されている。
 巻1、基本戦術
 巻2、応用戦術及び戦史
 どうやら、前記した書籍を普及出版したものらしく、(とはいえ、軍人向け出版書籍)記載されている事項の修正変更はあるものの、おおまかな流れは同じである。しかも、前記の戦術学教程は文のみで記されているが、これは参考図版や写真、参考例が随所に挟んで視覚的なイメージを得ることが出来るようになっている。



非売品 戦術研究の参考 第二部編 陸軍大学校将校集会所



想定作為及び戦術統裁法講義緑  陸軍大学校将校集会所 S9 兵書出版社



教官現地演習戦術演習記事  陸軍野戦砲兵学校将校集会所 S5 軍事学指針社
(これは私の住んでいる町を舞台としているので、町への侵攻をシミュレーションするのに非常に役立ったものである)



軍制学教程 巻二  陸軍士官学校  S19 テキスト



応用戦術(攻撃の部)         陸軍士官学校編纂  S16 成武堂
応用戦術(防御及連続想定の部)  陸軍士官学校編纂  S16 成武堂



学校教練必携 前篇(軍事講話の部)  陸軍省徴募課編纂  S9 帝国在郷軍人会本部
学校教練必携 前篇(軍事講話の部)  陸軍省兵務課編纂  S14 軍人會館出版部
(この二冊を比較して見るも、表紙の金文字と白文字、陸軍次官等の違いがあるが、同一書籍である)



作戦要務令第二部の図解と説明 第一巻戦闘指揮の図解と説明 陸軍少佐斎藤市平  S16 尚兵館
作戦要務令第二部の図解と説明 第二巻攻撃の図解と説明 陸軍少佐斎藤市平  S16 尚兵館



小部隊戦闘法白紙研究 陸軍大尉山崎慶一郎 S17 琢磨社



小戦例集 第一篇  教育総監部編  S18 軍人會館図書部
小戦例集 第二篇  教育総監部編  S18 軍人會館図書部
小戦例集 第三篇  教育総監部編  S18 軍人會館図書部
小戦例集 第四篇  教育総監部編  S18 軍人會館図書部
小戦例集 第四篇  教育総監部編  S18 軍人會館図書部
第四篇ダブリ



初級戦術作業の参考  豊橋陸軍予備士官学校 テキスト



大東亜戦争小戦例集 輜重の部  教育総監部編 S18 武揚堂



赤軍野外築城教範



瓦斯防護教範  陸軍少佐斎藤市平  S18 尚兵館
昭和18年7月13日陸軍省検閲済
ポケットサイズの教範本として作られたものを、そのまま本に構成し直しただけなので、ページの1/2が余白であるという、見方によっては手抜き?な本書は、陸達第27号東条英機の名で対化学兵器用に定められたものである。
あくまでも瓦斯『防護』のためのものであり、攻撃を意図するものではない。
したがって、個人防護、資材防護、制毒、集団防護について述べられている。



ガリポリにおける上陸作戦



西方戦場に於ける戦車戦(今次大戦) ドイツ陸軍最高統帥部フーベルト・ヴェーボルヘルト少佐著 陸軍機甲本部評 出版不明



楠公の戦術上及精神上の教訓  陸軍中将林弥三吉 S17 兵書出版社



軍事教練関係書籍
 携帯版の軍事教練関係書籍である。
 かつては兵の一人ひとりがこれを携行し、兵営で、戦地で繰り返し読んだだろうと思われる。

一覧

 軍隊手帳3冊  M32 S6 S17版
 日本六法全書  T5     清水書店 
 (陸軍典範とか、海軍典範など、死法が載っている)
 海軍兵須知提要  海軍省教育局  S12
 海軍手先信号法  海軍省教育局  S12  兵用団書株式会社
 陸軍衛生部将校陣中必携 陸軍省医務局 S12  陸軍軍医団
 歩兵野外全書 小島棟吉 T6  武楊堂書店
 野戦築城教範改正草案  小島棟吉 T5 武楊堂書店
 要図と写景頭の書方 斎藤市平 S17 尚兵館
 歩兵操典 栗本長七 S15 一二三館
 剣術教範 栗本長七 S9 一二三館
 新軍事教練抄解 須賀武雄 S19 木村書店
 兵器整備工術教範  陸軍省通達第50号 S19
 兵器保存要領第3編兵器保存用材料及び器具  栗本長七 S16 一二三館
 兵器保存要領第4編刀剣喇叭及び銃器類  栗本長七 S16 一二三館
 陸軍在郷軍人須知  陸軍省兵備課 S16 軍人会館図書部 
 在郷軍人心得  帝国在郷軍人会福島支部 S14
 在郷軍人心得抜粋  教育総監部 S16 軍人会館図書
 補充兵、第二国民兵必携  帝国在郷軍人会本部 S17 軍人会館図書部
 時局防空必携  茨城県警察部警防課 S18 
 詔勅集  在満教務部 S15 富山房大阪印刷部
 S20年手帳及び備忘録手帳(手書き個人用)
軍隊内務教育  陸軍大尉山崎慶一郎 S18 琢磨社
軍人勅諭謹解  教育総監部編 S19 軍人會館図書部
歩兵教練の参考 射撃の部(第二章砲射撃部のみ抜粋) 不明
機動演習記事





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