第3書架「魔術書関係」

実地調法・神術霊妙秘蔵書 (明治39年神誠館蔵版)
実地調法・神術霊妙秘蔵書 (昭和15年神誠館蔵版)
実験調法・神術霊妙秘伝書 (昭和55年歴史図書社版)
実験調法・神術霊妙秘蔵書 (五等巡教師眞鍋義照写)
 『実験調法・神術霊妙秘蔵書』の「明治版」「昭和版」そして「直筆写本」である。この他に、昭和15年版も入手している。
 この3種類全てが稀覯本であるという、かなり入手不可能に近い書物なのである。
 明治版のコンディションが非常に悪く、ボロボロなので、触りたくも無いのだが、比較を行ってみた。
 一目で解ると思うが、写本の文体はやはり一番古い著述書だと見えて、漢文体になっていて、しかも朱書きを織り交ぜたカナルビ付きである。
 題名の違いからもわかると思うが、本の内容も結構違う事が判明した。
 明治版と昭和版は、題名の違いこそあれ(しかし、どうして違うかは不明)殆ど同じなのだが(というか明治版を元にして昭和版を作成しているので当たり前)写本版は2つの書に含まれていない東洋魔術の形式が記されていたりする。
 写真は同じ内容を記した個所なのだが、昭和版と写本では符術の書式が違っている。
 ここから私が推測するに、この「明治・昭和版」は柄澤照覚本人が著述した物ではなく、あくまでも神誠館が所蔵していた写本を原版として製本したと考えられないだろうか?神誠館の原版には写されていなかった東洋魔術体系が、この眞鍋写本に写されていると考えられるのだ。
 つまりは、これら写本にはそれぞれバリエーションが存在し、オリジナルを全て写した完本は今だ発見されていないと言う事になる訳だ。
まぁ、私にはそれを調べる気もないのだが、完全なる秘蔵書が何処かに眠っていると考えると、なんだか面白い気がする。

 この写本も不完全な断片でしかなく、欠落部分がかなりのページに及ぶと考えられるため、全体像が不明な所が残念至極である。
 しかし、もう100年以上経っている書籍であるにも拘らず、著作権が今でも文部科学省に存在すると言うのはどういうことなのだろうか。



『真言秘密両部神法 加持祈祷墺伝』 小野清秀



「梅花心易掌中指南」 時習斎源信武著 元禄10年 永田調兵衛版
「増補改定・梅花心掌中指南」 中根松柏先生著 大正15年 神宮館蔵版
 和綴りで両者とも味がある雰囲気を漂わせてます。 
江戸時代の元禄10年(笑)といえばもう古文書の世界なのだが、なんのその。 
神宮館版は、本当に旧版を1冊にまとめられているのか?どこを新しく(とはいってもこっちも大正15年発行なのだが)増補改定したのかをチェック。 
旧版は木版刷のカタカナ表記で読みにくいw。以前の持ち主の書き込みと、補修跡がまた楽しからずや。 
うーむ、確かに一冊に纏め上げられていました(笑) 
そして、旧版に書かれていない所謂、増補改定した箇所をも突き止める。これは明治以降に(というか中根松柏の追記なのだろう。)加筆された箇所で、どういう理由で易学に組み込まれたのかは不明。作者の勝手な解釈なのかも知れないがよくわからない。 
時代と共にその方法が変遷されて、古式に則った易の姿が次第に霞で覆われてゆく感を受けなくもない。 
五行相生相克は心易家伝の序を和解して、その後に一太極より64卦を生ずる事を示しているわけだが、本当に修正加筆しても良いものだったのだろうか? 
以前、元禄版を見つけたときに、即効でゲットしたんですけど、その後大正版を見つけて「どれ、ちょっくら比べてみよう」とか思い立った訳で。 
平成の現代ではどこをどの様に変えているのか、興味津々ではあるが、平成版の「梅花心掌中指南」ってあるんですかねw



『霊符縁起集説』澤了集 写本 文政12年



「日本巫女史」 昭和55年
 昭和55年物、初版が昭和五年というと、民族学研究の草創期、柳田国夫の影響を受けた執筆だろう。
それでも、この1000ページ近いボリュームは…
 目次によると
巫女の種類と名称/ 巫女教としての原始神道/巫女の呪術の目的と憑き神/巫女の用いた呪言と呪文/ 祝詞の呪術性/言霊の神格化と巫女/フトマニと巫女/呪術用の器具/巫女の作法と呪術の種類/ 鎮魂と招魂/久延毘古の観水呪術/水系の呪術/巫女の呪術と道教の影響/修験道の発達と巫道の交渉/ 巫女の漂泊生活とその足跡/憑きものと巫女/オシラ神/関東のイチコ頭・田村家の消長/ 当山派の修験巫女と吉田家/外法頭を持つ巫女/口寄せ作法/常陸土浦のモリコ/ 越後三面村の変態的巫術/巫女の人形/天王寺村の黒格子/紀州の算所と巫女/出雲の刀自話し/ 我が国最大の巫女村・信州禰津村とノノウ/明治の巫女禁断とその後。

明治期に弾圧された巫女ではあるが、原始を辿るとすんごく感慨ふかい。



『九字印言 十字大事 嵐之事 夭火之事 右紙燭之事 火ヲ服中スル事 テツホーリサツノ事 同薬之調合之事 水鉄砲之事』  江戸時代古文書写本
 半紙1枚に記されている秘伝書の写本である。
 これは貫心流居合術の流れを汲む書の一葉で、源義経が鞍馬の山で鬼一法眼から剣法を学び、その奥義を究めたと伝えられている。当時、同門奈良東大寺の住職重源の門より数名の達人が輩出し、これを京八流、または鞍馬八流と称した。
貫心流の開祖である宍戸司箭家俊は、始め由利刑部正俊伝来から義経伝の剣術を学び、後に厳島に参籠して神託をうけ、天正元年に京の鞍馬山・愛宕山で修行を重ね一流を編んだと伝えられている。



「大乗仏教」 ダライ・ラマ14世著(蒼洋社) 昭和55年
 ダライ・ラマ14世直筆サイン入り限定282/500 定価40,000円 

 チベット仏教至高の名著、ダライ・ラマ14世の語る座右の書です。 どうやら、最初英訳され、更に和訳したものらしい。 
 今から25年以上昔の本ですが、造りはゴージャスそのもの、中に書かれているダライ・ラマの教えとは裏腹に、チョー豪華絢爛な特装本であるという矛盾がいかにも…。 
 紙の外箱、クロス装丁の内箱を開くと、和綴りの本が3冊収められています。 巻上はダライ・ラマのサイン入りポートレートが貼られ、チベット仏教の歴史的記述がメインに著されていますが、思想的記述はその後半および巻中、巻下にて語られています。 巻中では、徳行、禅定、知慧の所謂釈迦の教えの核とされる「三蔵」の実践方法で、戒律というか教えが綴られ、善行とカルマのつながり、それによる輪廻の影響などが語られます。 
 ダライ・ラマ14世の思想を色濃く反映しているのが、巻下、中道への鍵と題された「中観思想入門」なのですが、そこでダライ・ラマは仏陀の境地を思い描いて、その洞察を読む人に投げかけています。 
 チベット仏教で有名な経典といえば、死者の書「バルド・トドゥル」が挙げられます。「人は死んで、バルドをさ迷う〜」 
 死者というより、死に行く者の為に語られる輪廻転生の物語なのですが、チベット仏教ではこれが死に瀕する者の心の支えになっていることは承知の事実です。 
 現在、中国のチベット侵攻とそれに伴う迫害によって、チベット亡命政府はインド北部のダラムサラに置かれていますが、チベット人にとってここは聖地であり、大量の難民がダライ・ラマを慕い、今もこの町を訪れています。 

 20世紀は、宗教とは別の科学的方法で魂の探求が始まった世紀です。 
意識下に隠された本能の領域を捉えようとしたのが心理学ですが、チベット仏教に影響を受けたユングは、自らの著作の中でその内容に触れ、無意識への深い思索の蓄積を語っていますね。 
 ダライ・ラマのサイン持ってたら、免罪符として無条件で極楽に行けるかもしれないなw



神霊まじない秘法奥傳 中村天陽編 昭和10年 洛東書院
運勢叢書まじない秘法 中村天陽著 平成元年 神宮館
 神宮館は昭和38年が初版な訳だけど、何故に昭和10年と同一の書籍
東京神宮館蔵版というのは良く見るが、それにしても書いていることはおろか、ページ数の振り方まで同じなのに、著と編が違うし、本の題名まで改名してるのは如何なものかと。
そしてよく解らない事に、神宮館版には著者でもないのに故高島呑象先生の写真が見開きに載っている。
中身は呪詛の外法書で、符術やら魚の生臭さを取る方法やら知恵袋的な伝承が書き記されていて、どこからどこまでが術式として書かれていたのか、境界線が不鮮明なオリエンタル魔術書である。





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