第2書架「軍事小説」

戦前における軍事書籍

 一概に軍記といっても様々である。
 戦意高揚に書かれた物、偉人伝記としての日本人、戦争の歪められた発表記録を物語りに
した物、完全なる創作など。
 軍国という時代背景をさっ引いて読めば、現代の物語の様にぐちゃぐちゃした人間関係は描
かれず、爽やかで希望のある物語が多く、今でも楽しく読めるものだが、復刻は完全に期待出
来ない書物群である。

 因みに軍記と言っても現在出版されている本を入れると、さすがに膨大になるために除外す
る。


戦後の書籍

 この時代には、隆盛を極めた左派系運動を伴った書籍が多数出版されている。
 武闘路線と呼応した思想攻勢が盛んに行われていた証拠であり、出版社自体がどの様な思
想の元に運営されていたのかが推測できる物が少なくない。(例えば三一書房などは左派系
の書物を多く出版し、バリケード封鎖されてしまったりもしている。この様な出版社の書籍が古
書業界に出たら即、買いである。)
 従って、内容自体も読者の運動への感化若しくは洗脳を意図している場合が有るため、戦前
の書物同様、時代背景をさっ引いて読まなければ本来の歴史は見えては来ない。

スラバヤ・バタビヤ沖海戦  大本営海軍報道部編纂 S17 文芸春秋社
大東亜戦争と帝国海軍  大本営海軍報道部編纂 S17 興亜日本社
海軍戦記  大本営海軍報道部編纂 S17 興亜日本社
米英敗戦記  廣野道太郎 S17 興亜日本社
作戦一万浬  海軍大佐平出英夫 S17 興亜日本
Z一流  広瀬彦太 S16 興亜日本社
海軍魂  海軍中将植村茂夫 S19 東水社
潜水艦戦記  海軍報道班平出朗 S19 朝日新聞社
真珠湾潜航  ○○大尉 S18 読売新聞社
世紀の決戦 東京日々新聞顧問伊藤金次郎 S16 昭和書房
大東亜戦史比島作戦  陸軍省企画 S17 読売新聞社
大東亜戦史ジャワ作戦  陸軍省企画 S17 東京日々新聞社
撃墜ノモンハン空中実戦記  陸軍中佐松村黄次郎 S17 教学社
 空の少年兵戦記「灯」 土浦海軍航空隊教官倉町秋次 S19 興亜日本社
少国民版「海軍」  岩田豊雄 S19 利根書房
常勝陸軍  陸軍中尉櫻井忠温 S9 新日本社
 肉弾  陸軍中尉櫻井忠温 S3 丁未出版社
戦線一万里  橘一郎 S5 山東社
 弾雨を潜りて  多門二郎 S2 織田書店
従軍50日  岸田国士 S14 創元社
物語戦陣訓  秦賢助 S16 時代社
銃後独話  海軍大将男爵安保清種 S14 実業之日本社
日と米露何が勝つか?  海軍少佐加藤明 S7 極東出版社
「撃滅」日本海海戦秘史  海軍中将子爵小笠原長生 S5 実業之日本社
 晩年の東郷元帥     海軍中将子爵小笠原長生 S9 改造社


乃木将軍勅諭のままに  陸軍少将亀岡秦辰 T10 文武書院
北洋の開拓者郡司大尉  信田秀一 S18 淡海堂出版
山本五十六元帥伝「提督とその母」  清閑寺健 S18 金星堂
(元帥殉職の後に書かれた幼少時代の伝記)
決戦の職場  秋山中佐講演録 S19 三菱重工名古屋航空機製作所
貴族の退場  西園寺公一 S26 文芸春秋新社
(西園寺氏外交の回顧)
アジアの共感  辻政信 S25 亜東書房
(辻は戦争犯罪人としてGHQに指名されていたが、まんまと逃げ切り政治家となって東南アジ
アに渡って行方不明となっている)
運命の山下兵団  元参謀陸軍中佐栗原賀久 S25 鹿鳴社
(戦後の批判書、自らの作戦の失敗を軍の体質に転化させている書)
軍閥暗闘秘史  馬島健 S21 共同出版社
日本軍閥暗闘史  元陸軍省兵務局長陸軍少将田中隆吉 S22 清和堂書店
(戦後の混乱期、恐らく軍へ批判を向けるために書かれた書)
インパール  高木俊朗 S25 雄鶏社
(一従軍兵のルポルタージュ)
5・15の全貌と解説  東京日々新聞社編 S8 
5・15事件陸海軍大公判記  時事新報社 S8
2・26事件判決原本  東潮社 S39
詩集「海に想う」  S17 詩と歌謡の社
(日本の万歳とか宣戦布告の日とか、軍国的詩集)


日本人作家による外国人人物伝
ヒットラー・人及その事業  濱田常二良 S16 潮文閣
(人類史上の驚異、偉人伝全集第1回。希代の英雄と称えた内容)
ヒットラー外交の秘録  判野文三郎 S14 教文館
(チェコ問題におけるヒトラーの外交戦術ダイジェスト)
ヒットラー伝  澤田謙 S9 大日本雄弁会
(世界の風雲児英雄ヒトラーの半生感動巨編)
ムッソリニ伝  澤田謙 S9 大日本雄弁会
(同上)
ビスマーク  鶴見祐輔 S10 大日本雄弁会
(同上)


日本人作家による外国戦記
ナチス厚生団(KDF)  文部省嘱託権田保之助 S17 栗田書店
欧州戦乱の真相  原田瑪生 S15 明治書房
(ポーランド戦の経緯についての書)
欧州大戦  東京帝国大学法学博士吉野作造 T5 民友社
(第1次大戦の経過と分析)
ヨーロッパの城塞戦  上野浩一 S19 欧亜通信社
(第2次大戦後半におけるドイツ軍の抵抗戦話集)
潜水艦U511号の運命   野村直邦 S31 読売新聞社
(独海軍元帥エーリッヒ・レーダー献辞付き)


外国人作家著作
シオンの議定書  不明 S18 破邪顕正社
(悪名高いユダヤ人の世界征服陰謀説)
英国罪悪史  ベルリン大学総長エズアルトマイヤー S15 人文書院
(イギリスの過去における卑劣な歴史を著した物)
ドイツファシズム論  ピアトニツキー S11 業文閣版
(ドイツ非難の書、但し検閲伏せ字だらけで意味が分からない)
独逸民族二千年史  シュティーヴァ S17 理想社
(ナチによって湾曲された独逸の歴史書、最後がナチの政権獲得で終わっている)
我が闘争  アドルフヒトラー S16 三笠書房
(ナチス党のバイブル、ベストセラー書)
我が統制策  ベニートムッソリーニ S13 三舟社
(ムッソリーニの政治姿勢のついての自伝)
勝利の日記  ヨゼフゲッベルズ S16 第一書房
(別名カイザーホフから首相官邸まで。宣伝省ゲッベルズの日記。ナチ党の政権獲得までを描
いた書)
我が思想・我が冒険  ウィンストンチャーチル S31 新潮社
(チャーチル回顧録)
白夜の海戦  海軍少佐FOブッシュ S18 海洋文化社
(ナルヴィークにおけるドイツ海軍の英雄的戦闘ルポルタージュ)
独逸の肉弾  陸軍大尉ヘッケル T5 戦時文学会
(天皇閲覧書物 第1次大戦従軍記アンドレモーロア S16 大観堂)
フランス戦線  アンドレモーロア S16 大観堂
フランス敗れたり  アンドレモーロア S15 大観堂
(第2次大戦初期のフランス防衛線の記録、毒ガスの匂いがスルーとかいって第1次大戦の戦
跡を懐かしんでいたが、匂いをかいだら死んでしまうのでは?)
真珠湾  ブレーククラーク S18 鱒書房
(アメリカからの真珠湾攻撃記録、慌てふためく米軍の様子を書いている)
乃木  スタンレーウオッシュバン S16 創元社
(外国人から見た乃木大将の評価)




東大紛争の記録  東京大学新聞研究所 S44 日本評論社
反逆のバリケード  日本大学文理学部闘争委員会書記局 S44 三一書房
戦後労働組合運動史  坂東慧 75年 田畑書店
中核VS革マル上下  立花隆 S50 講談社
共産主義問答  山崎幸一郎 S36 錦正社
(世界の妖怪共産主義の実態を把握せしめ、以って日本の思想防衛を強化せしむるものであ
る。という右系統)
日本共産党闘争史  市川正一 S21 暁書房
(戦前囚われ、獄死した筆者の口述書となっているが、真偽は定かでは無い。)
わが党の戦った道  宮本顕治 66年 日本共産党中央委員会
三島由紀夫VS東大全共闘  三島由紀夫・東大全学共闘会議駒場共闘焚祭委員会 69年 
新潮社
若きサムライのために  三島由紀夫 S44 日本教文社
大東亜戦争肯定論上下  林房雄 S45 番町書房
中国は抵抗する  Aスメドレー S40 岩波書店
(1937年の八路軍従軍記)
革命前夜  長崎武他 S33 松沢書房
(孫文をめぐる人々を描いた戯曲)
革命、そして革命…  エドガースノー S47 朝日新聞社
(米国ジャーナリストのニクソン大統領時代のドキュメント)
レーニン素人の読み方  中野重治 S49 筑摩書房
平和のための革命  ジョンサマヴィル S50 岩波書店
(ウォーターゲート事件に伴ったアメリカ糾弾の書だが、アメリカでは出版されていないらしい)
革命の中の革命  レジスドブレ 晶文選書
(ラテンアメリカ革命運動についての書籍)
 現代思想8 ゲリラ特集
 ゲバラ日記 チェゲバラ 朝日新聞社
黄金の軍隊  角川春樹 78年 プレジデント社
(角川出版ではなく別社!麻薬王クンサーのインタビューだが、角川はこの時麻薬に手を出し
たのかも知れない…推測ですので、本気にしないで下さい)
革命の悲劇  淡徳三郎 S25 改造社
(パリ、コミューンの悲劇的歴史書)
抵抗  淡徳三郎 S24 創芸社
(ドイツ占領下のパリ史)
若き親衛隊  Aファデェフ S25 20世紀文学研究会
(ソ連親衛隊ピオネールたちの対独戦争記)
 諜報工作 ラインハルトゲーレン 73年 読売新聞社
(ドイツのゲーレン機関生みの親の回顧録)
連合赤軍  読売新聞社


大空のサムライ 坂井三郎(サイン入り限定) 光人社
撃墜王との対話 坂井三郎 光人社 
我が闘争(上下) Aヒトラー 角川文庫

トップへ
戻る