世界館

獣の槍 (出典:うしおととら)
製作年代 紀元前298年頃、中国
刀工 ギリョウ
所持者 蒼月潮

 意思を持つ対妖用大槍。光覇明宗(大日派)恩施山覇風寺芙玄院収蔵。
 その蔵の地下で500年の永きに渡り長飛丸(とら)を自然石に縫いつけ封じてきた。その目的は対白面の者(金毛白面九尾の妖狐)決戦用武器。
 使い手の魂を力に変えて魑魅魍魎を討つ破邪の槍ではあるが、魂を失った使い手は妖怪「字伏」となって白面の者最終決戦の時まで石となって眠る。
 獣となったものを戻すには、縁のある女性達がその者の身を案じ髪を梳ることである。代々伝わってきたとされる櫛の模様が折鶴である事から日本製、しかも江戸時代に入ってから作られた物なのだろうと思われる。
 突く事を目的にした槍にしては、少々穂先が大きすぎる感もあるが(刺したら抜けない)、これは元々剣として造られたものであり、名工ギリョウの呪詛の念が自らの体を槍の棒に変化させ、剣と一体化、巨大な槍の形を形成したがためのものである。
 槍は白面を追って自ら移動し、中国中の妖怪を滅し続けたがゆえ、妖はその身を赤い糸に変え赤布を織り、以後シャガクシャによって見出されるまで槍は白天山に封じられている。その織布切れは最終局面まで封印として槍に巻かれる。
 作刀にはニッケル4%、隕鉄、純鉄(茨山の良鉄)、銅等々を含むが、際立った特色として呉国の鍛法の中で邪法として伝えられた技術、つまり神の力によって剣を作るために、神の供物として妹ジエメイ(決眉)を炉の中に捧げ、出来上がった鉄をもって作刀されていることである。そのパワーは妖怪270体を封じる間槌3体を必要とし、キルリアン反応にして11万オーバー。
 槍の歴史を年代で並べると
BC500頃―シャガクシャ(インド)白面を生む。
BC298頃―ギリョウにより獣の槍製造
…後200年間白天山の深い森の中に封印される
BC98頃―獣の槍、最初の所有者シャガクシャ(後の長飛丸)に見出される
…所持者不明
AC292頃―獣の槍、捉影に渡る(後のグレン)
…所持者不明
AC700頃―白面遣唐船で日本へ、槍もこれを追うが、後行方不明
AC1160―槍不在のまま白面封印
AC1490頃―槍の使い手草太郎VS長飛丸
後500年間長飛丸封印のまま槍は眠りにつく
AC1992―蒼月潮、槍の使い手として選ばれる
(2000年を生きる大妖怪の名と800年と口走ったシャガクシャの台詞の辻褄が合わないが、おそらくこのような歴史を辿っていると思われる。)因みに確認できた歴代の槍の使い手は6人。シャガクシャ、潮、捉影、草太郎を除けば、ある農民は家族を守るため、ある女性は恋人の敵を討つためと語られている。
 槍を封じる手段として用いられた方法に、自然石で敷き詰めた厚さ1mのコンクリート箱の内側に鉄と鉛の芯を織り込んだ、深さ10mの容器に特殊な液で安定させた灼熱の鉛と水銀を満たした中に槍を落とし込めば、徐々に腐り、箱が冷却して固まれば取り出すことも叶わずこの世から封殺されるとされている。
 白面との最終決戦時、使用法を誤った潮により4分27秒後にして破砕。槍の破片は四方に飛び散り人々の記憶を甦らせた後、とらの体内にて復活を遂げる。
 白面を滅ぼし役目を終えた槍は再度粉々になり、2人の兄妹の魂を解放して永久に失われた。


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