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現代において、日本刀の受難の時代は続いている。戦後氾濫する欧米文化の中で、レジャ
ーとしてのナイフが多数、安価に売買されている今日では、人を斬るための道具の存在自体 が反社会的として敬遠されがちにも思える。道具としての日本刀の役割はもはや失われ、弓、 槍などと過去の遺物として共に枕を並べつつあり、人を斬る目的で作られた日本刀の血脈は、 昭和の軍刀で最後になってしまった。日本刀のみならず、犯罪の増加ととともに手軽なナイフ 自身も都市では道具としての存在が薄れ、コレクションとして命脈を繋いでいる次第である。
刀は、気の遠くなるような時代を生き抜き物語を紡いできた。持ち主はたかが80年程の人
生オーナーになれるのみで、個人の好き勝手に扱うとすれば、いささか傲慢だと言えないだろ うか。
日本刀は美術品であり、国宝約1000件の内、その1割以上が日本刀と言う文化の遺産で
もあるのだ。
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